他社で断られた高所・狭小現場の仮設足場と、安全な施工計画の立て方

「他の会社で断られたんですが、見てもらえませんか」。鳶の仕事をしていると、こういう相談は珍しくない。断られた理由を聞くと、たいてい高さか、狭さか、形。ただ、断られたことと「組めない」ことは、実は別の話だ。この記事では、高所・狭小・複雑形状の現場で仮設足場の施工計画をどう立てるかを、私たち現場施工チームの考え方でまとめる。
断られる現場に共通するのは「標準品で組めない」こと
足場の現場の大半は、くさび緊結式や枠組といった標準の部材で組める。断られやすいのは、その標準の割り付けが成り立たない現場だ。敷地が狭くて足場の幅が確保できない。外壁が斜めだったり曲面だったりする。屋根の上に突出物がある。高さが相当ある。隣地との離隔がほとんどない。地盤が傾いている。どれか一つでも手間が読みにくく、複数が重なると図面を見ただけで「うちは無理です」となりやすい。
断る側の事情も分かる。図面がなく、手間が読めず、事故が起きたときの責任は重い。だから断ることを責めるつもりはない。ただ、依頼する側からすれば「組めるかどうか」が知りたいだけだ。そこで私たちINXは、難条件の現場でも最初から断らず、まず現場を見に行くことを基本にしている。大阪・関西万博のパビリオン関連の施工など、精度が求められる案件で培った経験も、こういう現場の段取りに生きている。
結論から言うと、難条件の現場で足場を安全に組めるかどうかは、現場での腕前より前の「計画」でほぼ決まる。
施工計画は現地調査で大半が決まる
図面だけで足場の計画を立てると、まず外れる。これは断言していい。築年数の古い建物ほど図面と現況が食い違うし、新しい建物でも外構や設備が後から足されて、図面にない出っ張りが増えている。現地に行って、寸法を測り、写真を撮り、自分の目で通り道を歩く。この作業を省いた計画は、着工日に必ず何かが引っかかる。
現地で見ているもの
足場を立てる地盤の傾きと強さ、埋設物の有無、架空線や電線との離隔、隣地との境界、資材の搬入経路と仮置き場所、揚重の手段、周囲を人や車が通るかどうか。地味だが、この確認の粒度が施工計画の質を決める。とくに搬入経路は盲点になりやすい。足場部材そのものより、部材を運び込める道があるかどうかで工法が変わることがある。
冬の富山では雪と風を織り込む
富山を拠点にしている以上、冬の積雪と強風は計画から外せない。足場にメッシュシートや養生シートを張ると風を受ける面積が大きくなるので、壁つなぎの数と位置、補強の方法を通常より慎重に見る。雪が載る前提で作業日を組むと工程が崩れるので、冬期は天候による作業中止を最初から工程に含めておく。
現場の写真と高さだけでも、一次の判断はできます。図面がそろっていなくても、まずは状況を聞かせてください。
ご相談・お見積もりはこちら高所・狭小・複雑形状、それぞれの足場の考え方
狭小地の場合
敷地が狭いと、標準の幅の足場が置けない。ここで選択肢になるのが、幅の狭い足場や、建物側に支えを取って張り出す形の足場だ。ただし、幅の狭い一側足場には法令上の使用条件があって、何でも使えるわけではない。部材を小さく分割して人力で運び込む、資材の置き場を作業の進み具合に合わせて動かす、といった段取りも含めて考える。
高所の場合
高くなるほど、倒れないための壁つなぎと、作業床に載せてよい荷重の管理が効いてくる。壁つなぎの間隔は足場の種類ごとに法令で上限が決まっているので、建物側に取り付けられる場所があるかを先に確認する。もう一つ、地味に効くのが昇降設備。高所で人が上り下りする階段や、資材の荷揚げの動線が悪いと、作業効率も安全性も一気に落ちる。
複雑形状の場合
斜めの壁や曲面、入り組んだ屋根まわりでは、標準部材だけでは隙間ができる。そこで単管とクランプを使った現場合わせ、部分的な補強を組み合わせる。一番やってはいけないのは、現場で組みながら考えること。事前に部材ごとの割り付け図を起こしておくと、着工してからの手戻りが大きく減る。
施工計画に落とし込む安全管理
安全管理は「気をつけましょう」では計画にならない。足場については、法令で決まっていることが多いので、それを計画書に確実に落とす。たとえば、つり足場・張出し足場、または高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更では、足場の組立て等作業主任者を選任する。足場の組立て・解体の作業に就く人には、特別教育の修了が必要だ。こうした資格の配置を、誰がどの作業を担当するかまで決めておく。
点検も同じ。作業開始前の点検に加え、強風・大雨・大雪などの悪天候のあと、中震以上の地震のあとにも点検が必要になる。私はここで「点検表が空欄だらけの現場」がどうにも好きになれない。書く手間を惜しむ現場は、だいたい他のところも雑だ。
| タイミング | やること |
|---|---|
| 作業開始前 | 手すり・壁つなぎ・床材の状態を確認 |
| 強風・大雨・大雪のあと | 部材のゆるみ、傾き、シートの破れを点検 |
| 中震以上の地震のあと | 足場全体の変形と接続部を点検 |
| 組立て・解体の作業中 | 立入禁止区域の設定と、悪天候時の作業中止判断 |
よくある失敗と、やらなくていいこと
難条件の現場で起きがちな失敗は、だいたい三つに集約される。一つ目は、現地を見ずに契約すること。着工してから「ここに電線があった」となり、工法の変更で追加費用が出る。二つ目は、見積書が「足場一式」の一行だけで、何が含まれているか分からないこと。三つ目は、標準で組める部分まで特別な工法にしてしまい、費用と工期がふくらむこと。
逆に、やらなくていいこともはっきり言っておく。すべての現場で高度な検討をする必要はない。標準で組める部分は標準で組み、難しい箇所にだけ手間をかける。この取捨選択こそが、費用を抑えながら安全を守るコツだと思っている。ここは会社によって考え方が違うと思うので、依頼前に確認してみてほしい。
私たちの強みは、足場だけで完結せず、プラント機械の据付や鉄骨建方、特殊工事まで一貫して工程調整できること。窓口が担当者と直接つながるので、現場の状況が変わったときの判断も早い。対応は富山県内(砺波市・富山市・高岡市など)を中心に、案件の内容に応じて全国にも伺う。まずはお問い合わせページから、現場の状況を教えてほしい。会社の全体像は株式会社 INXのトップページにまとめている。
よくある質問
他社で断られた現場でも相談できますか?
相談できます。組めるかどうかは現地の確認が前提になりますが、所在地・高さ・現場の写真があれば、一次の判断や進め方のご提案が可能です。
足場の作業で必要になる資格や教育には何がありますか?
つり足場・張出し足場、または高さ5m以上の足場の組立て・解体・変更では、足場の組立て等作業主任者の選任が必要です。組立て・解体の作業に従事する方には特別教育の修了も求められます。
対応エリアはどこまでですか?
富山県(砺波市・富山市・高岡市など)を中心に、案件の内容に応じて全国に対応します。
相談するとき、何を用意すればよいですか?
現場の所在地、足場を掛ける範囲と最大の高さ、現場の写真、あれば図面と希望の工期をお知らせください。図面がなくても、写真と寸法から一次の判断ができます。
断られた現場ほど、最初の計画づくりで結果が変わります。現場の状況を、そのまま教えてください。
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